[2016.03.24]
大阪市対策連絡会議主催の「『貧困大国』から子どもを守ろう」という学習会に参加させていただきました。
「子どもと貧困」の連載を担当されている朝日新聞の後藤泰良さんが「『子どもの貧困』の取材を通してみえてきたもの」と題して講演。資料として配られていた記事のタイトルには、「一枚の毛布 取り合った冬—「福祉の空白」死も意識した兄妹」、「借金し短大進学 風俗頼った」と衝撃的な、しかし取材に基づく現実が浮き彫りに。
講演後は、教育費の負担について保護者の立場からお母さん、地域で親御さんの相談にものりながら、子ども達の学習支援の無料塾に取り組んでいる保育士さん、2人の子どもを育てる非正規労働者のお母さん、学校現場から見える子どもの貧困について現役の先生から発言・報告があり、大阪のリアルな現状と問題意識が交流されました。
みなさんのお話を聞き感じた事は、まず、貧困と言われるリアルな実態を可視化し共有することの必要性です。
朝日新聞の連載には、「こんな大変なことになっているとは思わなかった」という声と同時に「実態はもっと酷い。取材してほしい」という声が寄せられているそうで、後藤記者は「温度差がある。貧困が見えていない」と言われていました。
「見えない貧困」とよく言われますが、やはり貧困状態を表すデータとともにリアルな実態を浮き彫りにし告発していくことが引き続き必要だと思いました。
そしてやはり外せないのが、政治、行政が果たすべき役割と責任をしっかり求めていくということです。
経済的な貧困をなくしていくために、低所得者ほど重い負担になる消費税の増税はもっての外ですし、賃金の引き上げや安定した雇用の創出、社会保障の充実でセーフティネットを拡充し暮らしを支えることは急務です。これに逆行している安倍政権のアベノミクスでは貧困はなくせないどころか、ますます格差が生まれ深刻な状況になっていき兼ねません。
同時に、居場所の問題、人との繋がりの重要性も強調されました。私もこの重要性を痛感します。
貧困に陥ると怖いのは孤立化していくことです。
いま、「子ども食堂」や「無料塾」など、市民の力で、食や教育の支援とともに居場所づくりが様々に実践され、広がっています。そうした取り組みを行政が支援することは大事ですが、行政独自の役割は決定的に大事だと思います。
例えば、給付制奨学金をつくるとか、ここに行けば相談できる、助けてもらえる、支援してくれる、何とかなるという場所(サポートセンター)をつくるなどの具体的な施策をすることと合わせて、「けっして孤立化させない、社会全体で支えていくよ」という強力なメッセージを自治体や国が発信することは大きな意味があると思います。
その際、乗り越えないといけないのはやはり「自己責任論」だと感じました。
学費が高く、奨学金は重い借金になるため、風俗で働く学生がいること、就学援助は学用品には出ないため、学校指定のリコーダーや習字道具が買えず100均でそろえる、死も意識した兄(18歳)・妹(17歳;朝日新聞の記事より)が生活保護受給を渋られた上に、「冷蔵庫はぜいたく品。近くにコンビニがあるから」という理由で冷蔵庫も買えなかった。
こうしたことはことを「自己責任だ」といえるでしょうか。
取り上げた事例との程度の差はあったとしても、世界の中でも経済大国で先進国と言われる日本で貧困が問題になっている今、国や自治体が果たすべき役割・責任は何か、私たちはどういう社会を目指すのか、そのことを考えなおし、自己責任論を克服し、暮らし・家計支援にこそお金を回し、全体をボトムアップさせていく政治が求められていると感じました。
夏の参院選、きたる衆院選をその転換のチャンスとして実らせたいです。
今回、この学習会に参加させてもらったのは、いま準備中の大阪の女性提言に生かすためでした。
1月8日にすでに出している「若者提言」に続いて、大阪での女性がおかれている実態や政治の問題点、解決の展望を示すことばできればと思っています。
会場で感想を発言させていただきました。